2022年4月11日月曜日

絵本「みずをくむプリンセス」

 ブルキナファソから帰国してもうじき2か月になります。
10年以上の間、アフリカと東京の自宅を往復している間にたまった本や衣類やこまごましたものを処分して生活基盤を立て直すことに集中するだけの日々だったように思います。

そんな中で出会った絵本が「みずをくむプリンセス」でした。


さえら書房・刊 2020年5月第1刷発行
スーザン・ヴァ―デ・文
ピーター・H・レイノルズ・絵
さくまゆみこ・訳

この本の制作者の中にはアフリカ出身の人はいません。
でも、この絵本のあとがきで、「この物語のもととなる話をしてくれたのは、西アフリカのブルキナファソ出身のスーパーモデル、ジョージー・バディエルです。ブルキナファソで育ったかのじょは夏の間、祖母のところで暮らし、毎朝、村の女性や子どもたちと何キロも先にある川へ行って水くみをしていたと話しました。きれいな水を手に入れることの困難さを知っていたジョージーは大きくなって、ブルキナファソやその周辺に井戸を作るプロジェクトを始めたのです。」ということを知りました。
からからに乾いたサヘル地域にある国、ブルキナファソで生きる人々の暮らしを描く物語なのです。

作者たちは連名で、あとがきの中に、「水は命の源であり、安全な水を手に入れることは、誰にとっても基本的な権利です。この絵本を読んだ人たちが水の問題に気づき、もっと多くの人たちに安全な水をとどけるための力になってくれるとうれしいです。」と添えています。

この絵本全体に広がる茶色い風景が、サヘル地帯に位置するブルキナファソでは水を入手することがいかに大変で大切なことかをわたしたちに教えてくれます。
そして、ぎらぎらと照り付ける大地で生きる人たちにも、バオバブやカリテの大木が木陰を作ってくれて、木の実をかじってひとやすみできること、夜にはさえぎるもののない大きな星空が広がること、気候はきびしいけれど穏やかな生活が子どもたちに安らぎをもたらしてくれていること・・・そんな幸せがあるのだということも教えてくれます。

イマジン。
水がないくらしをおもいうかべてみてください。
人が生きる環境が、地域、地域で違っているということを想像してみてください。
地球上のいろんなところで起こっていることを身近に感じることの大切さを思います。

この絵本のページをめくりながら、ブルキナファソの村に広がる大きな星空の美しさを思い出して、そして人々の瞳の美しさを思い出して、ブルキナファソがきゅーんと恋しくなってしまいました。

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