2014年12月24日水曜日

JOYEUX NOEL ! ” こうさぎたちのクリスマス”

 今日は、クリスマスイブ。
クリスマスの絵本には実に多くのものがあって楽しめる。
先日、絵本屋をはしごしたが、どこもクリスマスプレゼントを求めて、たくさんのお客さんで賑わっていた。

今朝、わたしがふっと思い出したクリスマスの絵本が、この「こうさぎたちのクリスマス」だ。


絵本 ”こうさぎたちのクリスマス” わが家のクリスマスツリーと共に

1979年12月に佑学社から第1刷が発行されている。
我が家に来たのは1991年12月のこと。
エイドリアン・アダムズ作・絵
乾侑美子訳
どのページもシンプルな構図なのだが、色合いがとてもきれいですーっと物語の世界に入っていける。

娘が大好きだったこの絵本。
グレーに雪の白い水玉がバックになった表紙からしておしゃれだし。
”うさぎ”と言ったら復活祭の卵で、この絵本の中のクリスマスツリーの飾りには思った通り(!)この卵が使われているし。
主人公の子うさぎが親から離れて1人暮らしするのが何と!大木の大枝の上にこしらた小さな家なのだから。
娘がこの絵本に夢中になったのは合点がいく。

(娘は小さい頃、木の上が大好きで、木の上の家に住むのが夢だった。幼稚園の頃は、おやつと水筒を小さなカバンに詰めて、ミニ座布団を抱えて、わが家の裏にあったしいの木公園の大木によじ登って枝の上でおやつを食べることが娘の至福の時だった!)


主人公のオーソン家は、春の復活祭のための卵にきれいな絵を描く名人たちだから、クリスマス前なのにもう復活祭ための卵の絵描きを始めている。

オーソンは、村の子ウサギたちと力を合わせて、森から大きなモミの木を運んできて、かれの木の上の家の下にそのモミの木を立てる。
そして、クリスマスのために卵に特別な模様を描き、ほかにも緑色に似合う模様の卵を選んで、オーソンが木の上の家に上り下りするための滑車を使って大きなモミの木に飾りつけていくのだ。
そして、これまた娘がウットリしたことは、オーソンのお母さんが作ってくれたポップコーンを子ウサギたちが糸で繋いで長い長い飾り紐を作る場面だ。
そうやって、卵のオーナメントとポップコーンの飾り紐で大きなモミの木がクリスマスカラーにいろどられていくのだ。

子ウサギたちだけで準備され、大人たちに秘密にしていた森の中のクリスマスパーティーが始まる。
大人たちがそりで集まってきたとき、ライトがぱっと点灯し、モミの木が浮かび上がった!!


どのページも本当に美しい場面が広がるこの絵本に、わが家の子どもたちはたくさんの夢をプレゼントされたのだろうな。

今も、この絵本が手に入りますように。

 JOYEUX NOEL !

 メリー クリスマス !



2014年12月23日火曜日

「パリのおばあさんの物語」に寄せて

手のひらサイズよりちょっと大きめの絵本「パリのおばあさんの物語」が、わたしの手元に来て何年になるだろう。
そう思ってページをめくると。

初版は2008年10月とある。

池袋の書店でこの絵本に出会って店員さんの手書きの推薦文に惹かれて手に取り、即、購入してわが家に連れ帰って。
6年になるのか。
なんだか、もっともっと長い間わたしの手元で、わたしを励まし続けてくれているようにも思える。


絵本 パリのおばあさんの物語


2回目の夏の絵本屋開店に向けて準備していたとき、ドキドキしながら千倉書房に電話して、思いがけずに千倉真理さんと繋がった。
夏の絵本屋で、「パリのおばあさんの物語」の編集者である真理さんに絵本の誕生秘話を講演していただいた2010年8月の暑い日のことをはっきりと思い出す。
予算のない絵本屋なのに真理さんはフレンドリーに応じてくれ、かのじょが編集した絵本たちの入った小ぶりのスーツケースをコロコロと引いて笑顔で現れた日のことを。
かのじょの話を聴いて、かのじょの想いもたっぷり入ったこの絵本がますます輝いたあの日のことを。

あの暑い日の、明るい絵本屋の中で、かのじょが、今夏はご主人の初盆だ、と話されたとき。
そのとき、ふたりの女性が繋がった。

勤務先が同じだったふたりのご主人たちから、それぞれにマダムのことは聴いていたけれど、出会ったのはその日が初めてだったと聞く。
分野は違うけれど奇しくも同じ文筆業で活躍する素敵なマダムたち。
この絵本のおばあさんのように多くのものを抱えながら、かのじょたちはそれぞれに自身の信じる道を歩いて行くのだろう。


真理さんが編集した、岸恵子訳の日本版の絵本「パリのおばあさんの物語」(千倉書房)。
わたしたちの三度の夏の絵本屋と、一度の冬の絵本屋で、この絵本はどれだけ多くの女性たちから支持されたことだろう。
多くの女性たちの(中には中学生の女の子もいたけど。)傍らで、人生の羅針盤、エール本になっていることだろな。


今冬、わたしは、その「パリのおばあさんの物語」を二人の友人の手元に置いてほしいと思ってこの本を二冊買ってきた。
沖縄の友人に郵送したら、翌日、連絡を受けた。
”届きましたー、ちょうどわたしの誕生日に。”

それから、3日前、もうひとりの友人には直接手渡すことができた。
”わぁーうれしい、今日はわたしの誕生日なのよ。”

びっくりうれしい。
この2冊の絵本は、どちらもそれぞれの友人たちの誕生日プレゼントになったのだった。


「パリのおばあさんの物語」 表紙をめくって



「パリのおばあさんの物語」
読むたびに、手に取るたびに、いつも行間に新たな発見をする。
そして、静かに肩に手を置いてそっと励ましてくれる本だ。

それから。
わたしにとって、絵本屋で出会ったたくさんの女性たちを思う本でもある。