2018年2月14日水曜日

かまくらへのあこがれ

秋田乳頭温泉 かまくらの街路灯~友人のFacebookより

九州で雪が積もったと日曜日のニュースで伝えていた。
わたしの故郷、北九州市の八幡でも雪は積もるんだけどな。
ただ、数十センチも積もらないだけ。
平昌オリンピックに出場したフリースタイルモーグルの村田愛里咲選手は福岡県北九州市出身だとテレビで何度も紹介されていたが、きっと雪のない地方から冬のオリンピック選手が誕生したことが珍しかったのだろう。
雪が降らないことはない。ただ、たくさんの積雪がないだけのこと。

わたしの小さい頃は、冬になると雪だるまを毎年こしらえて楽しんでいた。
でも、かまくらを作るほどたくさんの雪は積もらなかった。
だから、かまくらへのあこがれは強い。

雪国の子どもたちがかまくらの中で餅を焼いたり、みかんを食べたりしているのを見るたび羨ましく思ったし、かまくらの中に神棚があるのも神聖な感じがして、ますますあこがれが膨らんだものだ。

冒頭の写真は、友人がFacebookに載せていたもの。
静かで美しい光景だ。秋田の乳頭温泉の光景ということだ。
小さなかまくらが並んで、中に灯りがちらちらと燃えて、雪道をほんのり照らしてる。

友人からのこの写真を見て思い出した絵本がある。
荒井良二作の「きょうというひ」だ。


絵本「きょうというひ」荒井良二作(BL出版)

銀色を背景にして雪の結晶が舞い降り、その中で温かくロウソクの火が燃えている。


きのうのよる ゆきが ふりました
あさひが ゆきをてらして きょうというひの はじまりです・・・


おんなのこはセーターと帽子とマフラーを編んで、雪の原に出かけます。
そして、ロウソクが入るくらいの小さないえを作ります。
せっせ、せっせと。
たくさん、たくさん。

女の子は小さないえのひとつひとつにロウソクを入れて、火を灯します。


おんなのこのロウソクのいえ

きえないように きえないように
きえないように きえないように

女の子の小さな祈りが聴こえてくるようだ。


雪の原のちいさなかまくらにたくさん灯ったロウソクたち

きょうというひの ちいさな いのりが きえないように
きえないように 


おんなのこの祈りで染まっていく夕暮れ時。
ロウソクの火と夕焼け空が混じり合ってなんとも言えない朱色に染まっていく。
響きの美しい「灯ともしごろ」~ひともしごろ~ということばが美しく再現される。
たくさんのロウソクの灯りで。

おんなのこの小さな祈りがひろがっていく。


・・・よるに また ゆきがふりました


音ひとつ聞こえてこない、静かな絵本だ。
今日はバレンタインデー。
平和でありますように。