2012年7月10日火曜日

アフリカの夕暮れ


これは、絵本”だれかが星を見ていた”(アスクミュージック出版)からのものだ。
動物園勤務経験のあるあべ弘士氏の絵には、大雑把なのにしっかりサバンナの動物たちが描けていると感心する。
動物たちの一頭一頭のシルエットが夕陽の雄大さを教えてくれる。
わたしの大好きなアフリカの夕暮れの絵の一つだ。


     辛夷白み夕日の魔法まだとけず

日本の友人から送られてきた俳句(小野はなさん作)の、”夕日の魔法まだとけず”という言葉から中央アフリカ バンギにいた頃、飽きもせず毎夕、西側ベランダから緑濃い熱帯雨林に沈まんとする大きな夕陽に見入っていたことを思い出した。

そのうちに、熱帯雨林が広がる地平線に巨大な夕陽がドロリ、と呑み込まれてゆく様をどうにか表現したいと思うようになり、これは絵では表現できない、そうだ俳句でしか表現できないのだ、と思えて、毎夕、地平線にとろけるように消えてゆく夕陽を前に、紙とペンで格闘しいくつもの句を書いてみたものの、どれとしてぴったりくるものはなかった。

さだまさしの”風に立つライオン”を聴くと、やはりバンギの夕日を思い出す。


バンギは北緯4度くらいにあったから、ほぼ一年中夕方6時前後が日没時間だった。
夕陽がジャングルの丸く広がる地平線に近づくと、さらに真っ赤にトロリとなり、地平線のジャングルが燃えるのではないか!と思えるほど、太陽がドロリと溶けて呑み込まれてゆく。
地平線に太陽の端っこが当たってから上端まですっかり呑み込まれてしまうまでわずか数分だった。それから、ジャングル一体に静寂観が徐々に広がり,と同時に、赤色から赤みがかったむらさき色へ。そしてきれいな透明なむらさき色があたり一帯を制したか、と思ったら、さーっと”墨の一筆”のように黒色が加わり、夜を迎える。
その刻一刻と色彩が変わり、昼から夜へ移っていくひとときを、わたしは毎日見とれていた。


そのむらさき色が広がる瞬間を描いた絵本がある。


”ぼくのだいすきなケニアの村”(BL出版)だ。
今、わたしの手元にこの絵本がないから、その夕暮れの場面を描いたページをお見せできないのが残念だが、表紙に描かれているケニアのある村に住む元気いっぱいの少年が一日の冒険を終え夕暮れ時を家路に急いでいると、遠く我が家の前で少年の母親が立っている。
おかあさーん、と少年が走って、笑顔で腕を広げた母親のふくよかな胸元に帰った瞬間、夕暮れはむらさき色となり、夜を迎えんとするケニアの村だった、という場面がなんとも幸せで、わたしは大好きだ。

今、日本で、夕暮れまで冒険いっぱいめいっぱいの遊びを終えて満足げに家路に戻る子どもたちっているのかなあ、とか思ってしまう。
また逆に、今わたしが住むコンゴ民主共和国の東部で戦闘状態が続く村では、こんな長閑な子どもらしい生活を送って母親に愛情いっぱいに迎えられる子どもたちっているのかなあ、とも思い至る。


さて、もう一つ、夕暮れではないが、夜明けの美しさを描いた絵本も紹介したい。


”よあけ”(福音館)だ。
作者のユリー・シュルビッツは確かポーランド人だ。唐詩”漁翁”(詩人 柳宗元作)をモチーフに描かれた絵本だと聞くが、東洋の文芸・美術に造詣が深い作者の感性が光る。
湖畔で夜を明かすおじいさんと孫の二人が、夜明けと共に湖に船を漕ぎ出す場面の美しさは格別だ。前編、無音のままで読み終わる絵本だ。

まったくの余談だが、学生時代、一夜漬け専門だったわたしは、ラジオ深夜放送を聴きながら徹夜したものだ。深夜0時を回り3時台までは夜中と理解していて余裕なのだが、ラジオ放送も4時になると”おはようございます!”という雰囲気に変わり、そうなると焦りが出始める。そして夜が白み始め、ああとうとう一日が始まった、と心までしらじらした心境になる。

そんな夜から朝の狭間でよくラジオから流れていた中島みゆきの”時代”の、♪廻る廻るよ、時代は廻る♪という歌詞を、わたしは♪周る周る4時台は周る♪と聞き間違って、ああ、4時台が周って、朝が来る~!、と焦りまくっていたことを懐かしく思い出す。

余裕のある時の夜明けは、まさにユリーさんの描く、闇夜から透明なブルーに変わってゆく”よあけ”をわたしは静かに堪能していた。


話をまたアフリカの夕暮れに戻そう。
キンシャサの真っ赤な夕陽は、雄大なコンゴ河に沈んでゆく。
キンシャサはバンギとは赤道を対称軸に真反対の、南緯4度辺りだから、やはり一年を通して日没は夕方6時前後だ。
コンゴ河の十数メートル(と遥か遠くから眺めるわたしにはそう見えるだけだが・・)直上まで来ると、夕陽はコンゴ河の水蒸気に隠されてしまって見えなくなる。
真っ赤な夕陽が地平線に呑み込まれることは決して、ない。

それでも、やっぱり、アフリカの夕暮れは壮大な儀式を思わせる。

3 件のコメント:

  1. ぷはは!!!
    ”4時台はまわる~”って・・・!!!
    そして一夜漬け専門だったとは!
    私には、計画を持って試験勉強するように~~~なんて言ってなかったっけ?
    ふむふむ。オカンって、こうして上手く子育てしていくんだね~。
    でもカエルの子はカエル。
    私も一夜漬け専門でしたけど~。

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  2. わたしはですね!「とんびが鷹を産んだ」という言葉を胸に、子育てしていたのですよ。
    親の二の舞はさせないぞ、という聞くも切ない母心からです。
    ああ、健気な母だったなあ~~

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  3. Hey there just wanted to give you a quick heads up and
    let you know a few of the pictures aren't loading correctly. I'm not sure why but I think its
    a linking issue. I've tried it in two different browsers and both show the same outcome.

    my page :: Ab Glider Pro

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