最後に取り上げたい10冊目は、「よろこびの日々」です。
アイザック・バシェビス・シンガー作、工藤幸雄訳、岩波少年文庫。
「よろこびの日」の題名に続いて、原著では「ワルシャワでおとなになっていく少年の物語」という意味の長い副題が付いている、と訳者あとがきに書かれています。
そうです、これは、ユダヤ系アメリカ人のノーベル賞作家、シンガーさんがワルシャワで過ごした子ども時代を書き綴った自伝的物語なのです。
シンガーさんが60歳を過ぎて、ワルシャワで過ごした子ども時代を穏やかな気持ちで一つ一つをつぶさに振り返りながら書き綴ったのだと思われます。
でも最後の章だけは、大人になってアメリカ移住を決めてワルシャワを出発する前に訪れた故郷の町でのことを書いています。
25年を経て訪ねたかの地での出会いとは・・・。
大人になった今だからこそ、深く深く、シンガーさんの心の動きを理解できたと確信します。
ここまで書いて思い出す、もう一つの物語があります。
フランスでシンガーソングライターとして活躍するガエル・ファイユの、これもまた自伝的物語です。アフリカのブルンジという国でフランス人の父とルワンダ人の母を持ち、13歳まで暮らしたブルンジでの少年時代を書いた物語。
「ちいさな国で」
(ガエル・ファイユ作、加藤かおり訳、早川書房、2016年8月24日)
かれは1982年生まれだから、シンガーさんが育った年代も暮らしも境遇も、そして著した年齢もずいぶんと違っていますが、同じように少年時代を美しい言葉で書き綴り、そして、物語の最後の章で故郷に戻った時のある再会について触れています。
最後にこちらの物語も紹介して、”「7日間ブックカバーチャレンジ」+3冊”を終えたいと思います。
こういう機会を与えてくれた友人のミチさん、ありがとうございました。
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