大人になった今だからこそ、もう一度味わってほしい本として。
9冊目は、「モモ」を取り上げたいと思います。
ミヒャエル・エンデ作
大島かおり訳
岩波書店
大人は皆、忙しい忙しい、時間がない時間がない、と言って毎日を慌ただしく過ごしている。
なぜなのだろう。
子どもと大人、って1日24時間を神様からだか、誰からだか知らないけど、等しく同じだけもらっているはずなのに。
その時間というものの摩訶不思議さをエンデさんは解き明かしてくれました。
モモ、という不思議ないでたちの小さな女の子の物語を通して。
しかも、エンデさんは、あとがきで告白されているのです。
”この物語は、旅の途中の夜汽車で同室になった、これまた不思議な雰囲気の人から聞いたことを、記憶としてそのまま書いただけのことなので、皆さんの質問には答えられなのです。”
まるで、わたしたちを煙に巻いたように物語は終わるのです。
わたしももうずいぶん前にこの物語を読んだので、ずいぶんとおぼろげな記憶しか残っていません。
でも、時間という概念を不思議な視点から見せてくれたモモの物語をもう一度、手に取ってみたいと思います。
この物語にぴったりの雰囲気を持つ絵は、ミヒャエル・エンデさん自身の手によるものだそうです。
もう一つ思い出したことがあります。
わたしの小さな娘は、いつも、物語を読み終えると、ねえねえ、このお話って本当にあったこと?、と聞いてくるのでした。
わたしは、決まって応えました。
~本当にあったお話しだといいねぇ~。
すると娘は安心するようにおやすみを言って枕に載せた頭をくるりに壁際に向けて夢の中へ入っていくのでした。
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