2019年10月25日金曜日

それぞれが人生の主人公

岸田衿子さん訳の「赤毛のアン」を読みながら、脇役の人々の描写にも想いが移っていった。
アボンリーで人生を生きた、脇役の登場人物たちにスポットを当てて、かれらを主人公にして、それぞれの人生を描いたシリーズがあったことを懐かしく思い出す。

村岡花子さん訳のアンシリーズ10冊+1冊(後にかのじょの孫にあたる村岡美枝さん訳で、「アンの想い出の日々」が2009年に出版されている。)の中の、「アンの友達」と「アンをめぐる人々」だ。(もうずいぶん昔に読んで、記憶もあやふやなのだけど・・)











この短編たちにも感動したなぁ。ああ、人それぞれに人生があり、それぞれが人生の中の主人公なのだ、と強く思った。


そんな想いが綴られて歌になったものがある。
さださん(さだまさし)作詞作曲で、自身で歌う「主人公」だ。

さださんがソロ活動を始めて初期の歌と記憶しているから、わたしが長崎の大学に入学して独り暮らしを始めた頃だっただろうか。
大人になって、歳を重ねるたびにさらにしみじみ心に響いてくる歌だ。


 ”主人公”
 時には思い出行きの旅行案内書ーガイドブックーにまかせ
 「あの頃」という名の駅で降りて 「昔通り」を歩く
 いつもの喫茶店ーテラスーには まだ時の名残りが少し
 地下鉄ーメトローの駅の前には 62番のバス
 プラタナスの古い広場と 学生だらけの街
 そういえば あなたの服の模様さえ覚えてる
 あなたの眩しい笑顔と友達の笑い声に抱かれて
 わたしはいつでも必ずきらめいていた

 「或いは」、「もしも」だなんて あなたは嫌ったけど
 時をさかのぼる切符があれば 欲しくなる時がある
 あそこの別れ道で選びなおせるならって
 もちろん 今のわたしを悲しむつもりはない
 確かに自分で選んだ以上 精一杯生きる
 そうでなきゃ あなたにとても とてもはずかしいから
 あなたは教えてくれた 小さな物語でも自分の人生の中では
 誰もがみな主人公
 時折 思い出の中であなたは支えてください
 わたしの人生の中では わたしが主人公だと


詩の中の、わたしとあなた・・・。
どんな立場で書かれた詩なのか。
自分の中の、昔の自分と今の自分。
それとも、わたしと、亡くした大切な人。


さださんが何かの本の中で語っていたことを、わたしは書き留めていた。

「・・・だから僕は、人は必ず選ばれて生まれてきたのだと信じたいし、
だからこそ、生きてゆくことに誇りを持ちたい。
自分が主人公であるという考え方はとかく”利己”を感じさせる危険な言い回しですが、
生きてゆく強さを奮い立たせるために必要な起爆剤だと思ってください。
自分の人生はドラマであると信じることが、時として自分の不幸を救うこともあるのです。
『せいいっぱい生きる。
そうでなきゃ、あなたにとてもはずかしいから。
あなたが教えてくれた。
小さな物語でも、
自分の人生の中では だれも皆、主人公。

”わたしの人生の中では わたしは主人公だと”』」
 

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