2021年11月6日土曜日

本「現代アフリカ文化の今」

 最近、在ブルキナファソ大使館図書室に届いた本です。
ラッキーにもわたしは、いち早く借りて読むことができました。



「現代アフリカ文化の今 15の視点からその現在地を探る」
編者: ウスビ・サコ、清水貴夫
青幻舎刊/ 発行日:2020年5月30日

この本の帯には、

”同情と救済の対象から地続きのアフリカ世界へ” 
現代アフリカのポピュラーカルチャーを切り口にグローバル時代の新しいアフリカ像を展望する15の思考実験

とありました。
この本のまとめ役、ウスビ・サコさんは、マリ共和国出身で、中国で建築学を実践的に学んだ後、京都大学大学院で建築計画を学び工学博士取得。専門は空間人類学ということです。
サコさんの書いた「現代アフリカ建築と建設の今」の項は、わたしが足かけ30年の間見続けてきたアフリカ都市の町並みを思い出しながら読めて、おもしろかったです。(といっても、わたしはアフリカの下層レベルの人たちの中心地区には足を踏み入れることはなかったのですが。)
アフリカのそれぞれの国で根付く慣習、世界中に広がるアフリカ人ネットワークとアフリカの人々のタフな精神、商売力。
土地で生まれ育まれてきた宗教、伝統音楽と現代音楽、映画、写真、ファッション、そして建築。
芸術家として生きる姿勢、国際的に活躍するプロスポーツ選手や芸術家などを通して見えてくる”アフリカを生きる”ということ。
そして、アフリカとアジア、中南米の国々がこれからますます繋がっていくという重要性も考えさせられました。

いろいろな問題を抱えながらも、独特の文化風習を背景にバイタリティーあふれる生き方をするアフリカの人たちの今の姿とこれからを多方面からアプローチして提示する一冊でした。
実際には、政府間レベルでは未だに解決の難しいこともいくつも横たわっているのでしょう。国民の健康問題や環境問題にまでは行きつかないアフリカの政府の力。まだまだ国際援助に頼ろうとする政府の姿勢。

これからのアフリカには同情も救済も要らない。庶民レベルでは、対等に認め合って同じ地球人として生きることだなとしみじみ思いました。

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