ブルキナファソのカッセーナ族の家~月刊たくさんのふしぎ4月号より(福音館) |
以前わたしたちが住んでいたアフリカの国で聞いた話で、3年経っても子宝に恵まれない女性が夫のほうから離婚を切り出された~というのをわたしが一人のブルキナべ(ブルキナファソ人)に言ったことから話題に上ったのでした。
その女性は離婚したくなかったから病院で検査を受けたけど妻側に何の問題もなく、夫に検査を受けに来るように医師から言われたことを話すと、夫は病院に行こうとせずに、妻に問題があるのだと主張して、結局、離婚したのです。(かのじょは、元夫はどんな女性と何度結婚しても子どもはできないのよ~とほくそ笑むのでした。)
アフリカでは、夫の権力は絶大な上に子どもを産めない女性は妻の座から追われるというのは今も続いていると言います。
ブルキナべの女性は、さもありなん、と言う表情をして、一つの頓智の効いた話を持ち出しました。
これはモシ族に伝わる頓智話かどうかは知りませんが、イスラム教徒の家族の話です。
イスラム教徒は妻を複数養える力さえあるならば、4人まで妻を持つことができるのだそうです。そして、家族の中で夫の存在は大きく、女性は結婚しても夫に従順で、子宝に恵まれない場合それは女性側に非があると考えられて、女性は離婚やむなしという弱い立場にあるのだそうです。現在は、いくらか改善されてきていると聞きますが、なんだか戦前の日本の家族社会のように映ります。
ある村に、二人の妻を持つ男性が住んでいました。最初の妻との間には5人の子どもが、2番目の妻との間には3人の子どもがいました。そして、もうそんなに若くはない男性は3番目の若い妻をもらいました。
その3番目の若い妻との間には結婚して3年経っても子どもができませんでした。
子どもを産まずば実家に帰されると心配した生真面目な女性は思い詰めて、ひとりで病院に行きました。そこの病院には、最初の妻の長女が医師として勤務していました。自分とそんなに年齢も違わない父親の第3夫人に当たる女性を診察し検査を担当した医師は、第一夫人の長女でした。
深刻に悩む女性(父親の第3夫人)を診察し検査して出た診断は、かのじょには全く問題なしと言うものでした。
第3夫人は医師に言いました。わたしの夫と第1夫人の間にも第2夫人との間にも子どもがいるのに、わたしとの間に子どもができないのはわたしに問題があるに違いない、その診断は間違っていると、医師に食い下がりました。医師(第1夫人との間の長女)は、夫のほうの検査をしてみましょうと言いました。
第3夫人は夫に病院に行って検査を受けるように懇願しましたが、頑として夫は受け付けません。何故わたしのほうに問題があるのか!、わたしと妻たちの間には8人もの子どもがいるのだから、おまえに問題があるのは明らかではないか!
第3夫人は医師に夫が検査を拒否することを話しました。医師は、その男性の長女ですから、父親に、もうあなたは年齢的に持病が出てきてもおかしくはありません、早期治療が大切だから、一度検査を受けたほうがいいと促し、父親の一般内科の受診に成功し、隠密でその検査に生殖機能を調べる項目も入れたのです。
すると、なんと男性の生殖機能に問題があったのです。
では、どうして第1夫人と第2夫人との間には子供が授かったのでしょう・・・。
では、どうして第1夫人と第2夫人との間には子供が授かったのでしょう・・・。
帰宅した女性医師は、母親に詰め寄りました。
わたしの父親は誰なのかと。
医師の母親(第1夫人)は結婚後に夫のほうの問題に気付いて、このままでは子宝に恵まれないことを自分のにせいにされて離縁されると思って、よその男性と関係をもって5人子どもを作ったのでした。第2夫人もそれに気づいて、何食わぬ顔をしてよその男性と関係を持って3人の子どもを授かったのでした。
でも、第3夫人はまだ若く生真面目で、2人の先妻たちとの間にも気兼ねがあって、夫の無能に気付かずに、ただ独り真剣に悩んで病院に行ったのでした。
さて、その第3夫人はその後、どのような行動に出たかはわかりません。
平和にことなく第3夫人として地位を保てたことを祈りましょう。
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