2014年12月23日火曜日

「パリのおばあさんの物語」に寄せて

手のひらサイズよりちょっと大きめの絵本「パリのおばあさんの物語」が、わたしの手元に来て何年になるだろう。
そう思ってページをめくると。

初版は2008年10月とある。

池袋の書店でこの絵本に出会って店員さんの手書きの推薦文に惹かれて手に取り、即、購入してわが家に連れ帰って。
6年になるのか。
なんだか、もっともっと長い間わたしの手元で、わたしを励まし続けてくれているようにも思える。


絵本 パリのおばあさんの物語


2回目の夏の絵本屋開店に向けて準備していたとき、ドキドキしながら千倉書房に電話して、思いがけずに千倉真理さんと繋がった。
夏の絵本屋で、「パリのおばあさんの物語」の編集者である真理さんに絵本の誕生秘話を講演していただいた2010年8月の暑い日のことをはっきりと思い出す。
予算のない絵本屋なのに真理さんはフレンドリーに応じてくれ、かのじょが編集した絵本たちの入った小ぶりのスーツケースをコロコロと引いて笑顔で現れた日のことを。
かのじょの話を聴いて、かのじょの想いもたっぷり入ったこの絵本がますます輝いたあの日のことを。

あの暑い日の、明るい絵本屋の中で、かのじょが、今夏はご主人の初盆だ、と話されたとき。
そのとき、ふたりの女性が繋がった。

勤務先が同じだったふたりのご主人たちから、それぞれにマダムのことは聴いていたけれど、出会ったのはその日が初めてだったと聞く。
分野は違うけれど奇しくも同じ文筆業で活躍する素敵なマダムたち。
この絵本のおばあさんのように多くのものを抱えながら、かのじょたちはそれぞれに自身の信じる道を歩いて行くのだろう。


真理さんが編集した、岸恵子訳の日本版の絵本「パリのおばあさんの物語」(千倉書房)。
わたしたちの三度の夏の絵本屋と、一度の冬の絵本屋で、この絵本はどれだけ多くの女性たちから支持されたことだろう。
多くの女性たちの(中には中学生の女の子もいたけど。)傍らで、人生の羅針盤、エール本になっていることだろな。


今冬、わたしは、その「パリのおばあさんの物語」を二人の友人の手元に置いてほしいと思ってこの本を二冊買ってきた。
沖縄の友人に郵送したら、翌日、連絡を受けた。
”届きましたー、ちょうどわたしの誕生日に。”

それから、3日前、もうひとりの友人には直接手渡すことができた。
”わぁーうれしい、今日はわたしの誕生日なのよ。”

びっくりうれしい。
この2冊の絵本は、どちらもそれぞれの友人たちの誕生日プレゼントになったのだった。


「パリのおばあさんの物語」 表紙をめくって



「パリのおばあさんの物語」
読むたびに、手に取るたびに、いつも行間に新たな発見をする。
そして、静かに肩に手を置いてそっと励ましてくれる本だ。

それから。
わたしにとって、絵本屋で出会ったたくさんの女性たちを思う本でもある。


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