2013年5月2日木曜日

ロバのシルベスターとまほうの小石

ZONGOのコンゴ河で採った石ころたち

この写真の石ころたちは、今年の正月に訪れたZONGOのコンゴ河で採ってきたものだ。
近くに滝があって、うっそうとした茂みが続く河岸だったから、水晶が見つかるのではと期待して探したが、徒労に終わった。

思い起こせば、わたしは小さい頃から、きれいな石ころを集めるのが好きだった。
どこに行っても、きれいな石ころを見つけては家に持って帰って、母から迷惑がられた。


そんなことを思い出しながら、一冊の絵本が浮かんできた。




絵本 ”ロバのシルベスターとまほうの小石” の表紙


「ロバのシルベスターとまほうの小石」(評論社)という絵本だ。


ロバの子、シルべスターは、変わった形や色の石を集めて楽しんでいた。
ある日、シルベスターはきれいな赤い小石を見つける。
それは、願い事が叶う魔法の小石だった。

その時、シルベスターの眼前に突然ライオンが現れ、とっさに小石を持ったまま、「岩になりたい!」と思ってしまい、本当に岩になってしまったのだった。岩のそばには、赤い小石が残されたまま・・・。

ああ、岩になってしまったシルベスター自身の驚きようと嘆きを想像するだけで、読んでいる側も胸が張り裂けそうになってくる。

そして、そんなこととはつゆほども知らないシルベスターの両親、ダンカンさん夫妻の嘆きも察して余りある!
行方不明になった息子を探し回るダンカンさん夫妻の表情!


さあ、果たして誰かが魔法の赤い小石を拾い上げて、シルベスターが元の姿に戻ることを願ってくれるのだろうか!!



奇想天外な筋書きで、親が子を想う深い愛情を表現してる、というところにこの物語の魅力があるのかもしれない。
我が家でも、子どもたちが小さいころ、身を寄せ合いながら(共に間近にいる安心感をもって?)何度この絵本をいっしょに読んだことだろう。


ウイリアム・スタイグ作で、アメリカでの初版は1969年だそうだ。
そして翌年に、コルデコット賞を受賞している。

日本では瀬田貞二の訳で1975年に評論社から出版されている。
(・・ということは、この絵本もわたしの幼い頃には存在せず、母親にならないと出会えなかった絵本だったのかもしれない。)


娘は、この絵本を読みながら(読んでもらいながら)、岩になった自分を想像して、声も出せない、手も足も出せず身動きひとつできない状況を「怖いと思った」と言っている。


ああ、わたしが拾った小石たちが魔法の小石ではなくてよかった!

そして、子どもたちが魔法の小石を見つけなくてよかった!

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